・母は自分を保つことをあきらめてしまった。現実とそうでないものの区別がつかなくなり、母の世界にはメロドラマの登場人物が行き来するようになり、彼らがそばにいるかのように話しかけた。

・老齢機に直面する精神の病気と体の病気は、心血管系と代謝系を通じて結びついている。肥満の人が普通の人の2倍、認知症にかかりやすいのも、心臓病の人がアルツハイマー病になる確率が非常に高いのも、そのような頭と体のつながりが壊れた結果なのだ。

・軽度認知障害は進行するとは限らないが、放置すると認知症になりかねない。自分を形づくっている人生の軌跡を辿ることができなくなり、自我が蝕まれていくという耐えがたい恐怖を味わう。

・孤独と運動不足は、細胞の死のスパイラルをさらに助長し、脳を萎縮させる。

・靴のひもを結ぶ、ドアの鍵を開ける、食料品店まで車で出かけるといった、ごくあたりまえにやっていることが、実は、作動記憶、作業のスムーズな切り替え、不要な情報の締め出しといった、脳の最も高度な機能に依存しているのだ。よく調教されたサルでも、シャツのボタンをなかなかきちんとはめられないのはそこに理由がある。

・ライフスタイル次第で、健康ですごせる期間──単に長生きするのではなく、よりよく生きる人生──が増えることを知れば、誰でも、少なくとも気持ちの上では、もっと活動的になろうとするだろう。そして、運動が心臓だけでなく脳にとっても大切であることを知れば、さらに熱心に運動しようとするだろう。

・忙しく生きていないと、体は急速に死に向かう。計画や目標を立て、約束を入れることは大切だ。

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