中国のCOVID-19の重症患者約1,300人を対象にした3件の臨床報告に基づいて、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と呼ばれる酵素が重症化に関係している可能性があると推測した。なお、この1,300人のうち12〜30パーセントには、既往症として高血圧と糖尿病があった。
新型コロナウイルスは、ACE2受容体を利用して人間の細胞に侵入する。つまり、この酵素がよく作用するようになると、症状が悪化する恐れがあるというのだ。
一方、高血圧と糖尿病の治療にはアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを抑える作用のあるACE阻害薬が使われるが、この薬はACE2の酵素作用の発現を加速させる。高血圧患者や糖尿病患者が重症化しやすいのは、ACE阻害薬を服用しているためではないかというのが、研究者たちの立てた仮説だった。