機会の平等が大切か、それとも結果の平等を優先すべきかという議論がありますが、どちらを重視すべきかの判断は状況によって異なります。
人種や性別の問題など歴史の中で積み上げられてきた問題を解決しようと思ったら、いわゆるアファーマティブアクションのような形で、ある程度は結果の平等に寄せる必要があるかもしれません。とはいえ社会が常に結果の平等を重視すべきというわけではなく、一生懸命に働いている人と、適当に仕事をして成果を上げていない人の給料がいつも同じであれば、その状態に不満を抱くのは当然だと思います。
この問題で有名な議論は、哲学者ジョン・ロールズによる「無知のヴェール」という概念です。あなたはこれから、世界中の誰か一人に生まれ付くとする。ただし、どこの地域、どこの人種、どこの家庭に生まれ付くかはわからない。生まれる前に社会のルールを決めなければならないとしたら、いまつくろうとしているルールは正しいと思いますか、という問いかけです。自分が不利な立場に立たされた時、そのルールを正当化できるのかと自問して、許されないと思うのならば、考え直す必要がありそうです。