「タイトルを目指そうという新人がデビュー直後に勝率7、8割以上勝つのは当たり前なんです。藤井君が8割程度なら棋士間で評価は得られるものではありませんでした。9割を超えると『ちょっと違うな』と思うようになりますが、デビューから負けずに29連勝したわけですからね。驚きました。プロ野球に例えるなら並の新人王の成績では当然なくて、高卒で3割30本を超えるレベルです。2割8分20本程度じゃない」
「佐々木(勇気)五段に負けて連勝が止まるところで、(渡辺に挑戦するまでは)あと5勝必要でしたから、一般論で言えば、対戦する現実味はまだないですよね。ただ、一度負けない限りは底が見えないので、周りはみんな夢を見ていたと思います。何しろ29勝無敗でしたから。底の見えないものに対して一般論は通じない。それこそ『人類ではもう誰も勝てないんじゃ』みたいな感覚だったでしょう(笑)」
「光速の寄せ」で棋界を席巻した谷川九段のようなオフェンシブなスタイルを披露することもあれば、相手の攻めを徹底的に受け止める「千駄ヶ谷の受け師」こと木村一基九段のディフェンシブな棋風を踏襲したような将棋を展開することもある。
「どっちもやってしまうんですよ(笑)。どちらも指しこなそうとしているのだとしたら、ちょっとすごいです。王道のきれいな将棋も指すし、相手の得意な戦型を迎え撃つのは羽生さんに近いところを感じる時もあります。羽生さんもオールラウンドプレイヤーと言及されることが多いですが、木村さんのような受け将棋は指しませんから」
「戦いたくなかったです。中学生と戦う心の準備は出来なかった。せめて高校生になってからにしてよ、と思いました(笑)」