8月に入って温家宝首相は国務院常務会議で「関係各国に財政赤字を削減し、債務問題を適切に処理するよう要求する」と暗に米国を批判、王岐山副首相とガイトナー米財務長官は頻繁に電話協議しているとも言われる。中国が1兆ドル以上保有しているという米国債の「売却」をちらつかせながらの綱渡りの交渉が続けられている模様だ。
「電話協議では中国側からQE3(量的緩和第3弾)をやらないように要請、アメリカはその見返りに追加で米国債の保有を求めているでしょう。ただ財政政策を打てないアメリカはQE3をやらなければ景気失速が確実、オバマは来年の大統領選で当選できない。
一方の中国も暴落危険度の高いドルという〝リスク資産〟をこれ以上増やすわけにもいかない。こうした騙しあいの交渉が行われているのです」(富士通総合研究所・主席研究員の柯隆氏)