糸井重里(=糸井) 最近頂いたメールの中にね、凄いと思った「名メール」があったんですよ。

NB Online(=NBO) はい。

糸井 そのメールにね「私は器用貧乏ではなく、先読み貧乏です」って書いてあったの。先読み貧乏ぉ?(笑)。この造語、凄いって感心したんです。

 そもそも、器用貧乏というのは素晴らしい才能の持ち主で、いろんなことができてしまう人のことですよね。何でもできるので、かえって1つのことには集中できなくなってしまう。どんなこともエンジンブレーキをかけた状態で仕事をしてしまうので、結局、うまくいかない。むしろ、不器用な人の方が頑固一徹で取り組むからうまくいく。そんな話ってよくありますよね。

 じゃあ、この「先読み貧乏」さんって何だろうと・・・。たぶん大学院生のモラトリアムに気分は近いと思うんですけど、ある物事が起きると、どんどん先を考えてしまって、結局、動けなくなっちゃう人なんですよ。

 情報はあるんです。それで、自分の持っている溢れる知識で普段からいろいろ考えてはいるんですよ。ただ、その知性、豊富な知識で、自分は何を獲得するかを断言できるまでには至っていない。それで、「ああ、自分にはまだまだ知識は足りないんだ」と思ってしまいさらに先読みを続けてるんです。

 それでいつか、「あれはもう古い」とか「もう終わったね」と自分で判断を下してしまう。それで、気が付くと、時間だけが過ぎている、と・・・。

 あぁー、この「先読み貧乏」って分かるなぁと。

NBO なんとなく耳が痛い話です。

糸井 そう。みんな一度は経験したことがあるんじゃないかなぁってね。

更新情報知らせます はい 不要