強いストレスは交感神経に働きかけてノルアドレナリンを放出させ、それが毛包にある色素幹細胞に取り込まれることを発見した。通常、色素幹細胞の活性はそれらの一部だけをメラニン細胞に分化させるが、ノルアドレナリンによる過剰活性は色素幹細胞のすべてをメラニン細胞に変換させてしまうという。すると、色素幹細胞が枯渇してしまい、髪に色素をつけるメラニン細胞の供給源がなくなってしまう。
「マウスはストレスを受けてから5日以内に色素幹細胞を失いました。ただし、分化したメラニン細胞はまだ存在しているため、この時点では毛髪は色素沈着したままです。新しく毛が生え替わると(マウスの体毛は年齢に応じて約1〜2カ月後に生え替わる)、毛を着色するメラニン細胞をつくる幹細胞がないため、新しい毛は色素を失います」