安藤が一人暮らしだったころ、得意な料理のひとつに天ぷらがあった。

 〈水で溶いた小麦粉は、熱い油の中に入れると、やがて水と油がはじき合い、水分が抜けて浮かび上がってくる。油切りをすると、コロモに無数の小さな穴が開く。湯をかけると、この穴から水分が一気に吸収され、元のやわらかい状態に戻る〉

 即席ラーメンの基本となった油で揚げたフライ麺の原理は、ここから生まれた。安藤の発想はいつも身の回りからだった。

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