ハイコンテクスト文化
聞き手の能力を期待するあまり下記のような傾向があります。
- 直接的表現より単純表現や凝った描写を好む
- 曖昧な表現を好む
- 多く話さない
- 論理的飛躍が許される
- 質疑応答の直接性を重要視しない
ローコンテクスト文化
話し手の責任が重いため下記のような傾向があります。
- 直接的で解りやすい表現を好む
- 言語に対し高い価値と積極的な姿勢を示す
- 単純でシンプルな理論を好む
- 明示的な表現を好む
- 寡黙であることを評価しない
- 論理的飛躍を好まない
- 質疑応答では直接的に答える
ここで一例を挙げましょう。
ある商社で「先週のインドネシアでの商談はうまくいったのかい」という問いかけがあったとします。日本型のコミュニケーションスタイルでは、
「人間万事塞翁が馬。今のインドネシア情勢の変動は激しく予断を許さないからね。今回の契約もどうなるかとヒヤヒヤしていたんだ。人間諦めないで最後まで頑張ってみるものだね・・・・」
のように、問いに対する答えを直接的に伝えることよりも、周囲の状況や自分の感情などを詳細に説明することで共感を求め、肝心の答えは相手に推測してもらおうとする傾向があります。一方、英語型のコミュニケーションスタイルでは、
“It was so successful. We got two new big contracts there."「非常にうまくいった。大きな新規契約を2つ結んだよ」
のように、問いに対する回答や結果などの重要な情報を明確に伝えます。推測しなければならないような回答は、伝達側の努力不足でありルール違反であり、非常に無責任なものととられます。日本人とアメリカ人が会話をすると、アメリカ人が盛んに話し、日本人が聞き手にまわっているのをよく見かけます。その理由は、一般には英語で会話しているからだと考える人が多いと思います。ところが実際にはアメリカ人と日本語で会話をしても、相変わらずアメリカ人の話す割合が圧倒的に多いのです。1日の会話量を計測したある調査データによると、平均してアメリカ人は日本人の2倍の量を1日に話すそうです。