免疫には「軍隊」に当たるリンパ球と、「警察」に当たるリンパ球の2つの種類があります。軍隊型のリンパ球は、ウイルス感染にきわめて強い抵抗力を発揮しますが、抗原抗体反応を経てから対応するので効果が出るまで時間がかかります。一方の警察型は、ナチュラルキラー(NK)細胞と呼ばれ、ウイルス感染した細胞や癌化した細胞をいち早く見つけて攻撃します。
私たちの体は毎日1兆個の細胞を新たに生み出していますが、そのうち5000個ほどは不良化、すなわち癌化します。これを成長する前に叩いているのが警察型のNK細胞なのです。NK細胞はつねに血液中をパトロールしていると考えればいいでしょう。リンパ球のうち2~3割を占めているだけですが、人間の免疫力を支えるたいへん大切な存在です。
ただし、NK細胞はいくつかのきっかけで活力を失うことがあります。加齢と生活リズムの乱れと精神的ストレスです。65歳くらいを過ぎると、この「おまわりさん(NK細胞)」は居眠りをするので、その間にたとえば癌化した細胞が増殖してしまい、目覚めたときには警察では手に負えないくらいの大きさに育ってしまう。加齢とともに癌の発症が増えるというのはこの理由によります。