マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』の第2章で、トムは、ポリーおばさん家の約80平方メートルの敷地を囲むフェンスに白ペンキを塗るという、退屈な仕事を命じられる。トムはこの仕事を心から楽しんでいるわけではない。「トムは人生がむなしく感じられ、意気も消沈していた」と、トウェインは描く。
トムが希望を失いかけたとき、「これぞまさしく、壮大なインスピレーション」が突然トムの頭にひらめいた。友達のペンがその場を通りかかったとき、気の毒だね!とトムを馬鹿にした。トムはそれに対して、戸惑うふりをした。フェンスを塗るのは、ちっともいやな仕事なんかじゃないよ、とトムは答える。殴りつけるように白ペンキを塗りたくらせてもらえるのは、実は素晴らしい特権なんだ自分にとっては、とてつもないやりがいだ!
このフェンス塗りがとても面白そうに見えたベンが、自分にも少しやらせてほしいと頼んだとき、トムは断った。やらせてくれたらリンゴをあげるから、とベンが頼み込むまで、トムはベンにその仕事をやらせなかった。
その後何人かの少年が通りかかって、みなトムの策略に引っかかり、彼の代わりに何度も何度もフェンスに白ペンキを塗ったのだ。
このエピソードで、トウェインはモチベーションに関する主要原則を描き出している。つまり、「“仕事”とは、“しなくてはいけない”からすることで、“遊び”とは、しなくてもいいのにすることである」。