「価値ゼロの商品がどうして売れるのか?」という設問に答える形で、
コラムを続けて行こうと思います。

まず、本当に価値ゼロの商品が売れるのか?について。

みなさんは「プラチナゲルマローラー」という通販商品をご存知でしょうか?
プラチナとゲルマニウムの合金で塗装された銀色の、
顔をコロコロするローラーです。

これが、今なんと40万本も売れているというのです。
価格は1万4千円ですから、60億円ほどの売り上げがあるということです。

ということは、すごい画期的な商品に違いないと思うわけですが、
これがそうでもないのです。

ホームページを読んでみますと、効能には何も書かれていません。
口コミで、小顔になった、皺が減った、シミが消えた!と書いてありますが、
それは個人の体験談であって、そういう効能があるとは決して書いてありません。

せいぜい書いてある事と言えば、理学博士のコメントで
「半導体によって、体内のイオンバランスを整える」
と書いてあるくらいです。

理系の人には噴飯ものの効果です。
しかも、「半導体によって」と書いてありますが、
「プラチナゲルマローラーの半導体によって」とは
書いてありません。
すごい、せこい。

効果としては、ビフォーアフターの顔のサーモグラフィーも掲載されています。
なるほど、3分マッサージするとこんなに赤くなるんですね。
でも、プラチナゲルマローラーでなくても、
3分マッサージすれば顔くらい赤くなるだろうと思うのですが、
それは言わない約束です。

こんなトンデモ商品が40万本売れるのですから、
価値があることと、売れることが相関していないかというのが
分かってもらえるでしょうか?

他にも売れまくっている価値ゼロの商品に、
石、泥、パワースポット、サプリメントなどなどあります。

「価値ゼロの商品」でも、しっかり商売すれば売れるんです。

では、次にいかにして「モノが売れるか」について考えてみましょう。
これも基本パターンがあります。
それがこの3ステップです。

①立ち止まって考える力を奪う。
②欲を満たしている自分を想像させる。
③小さくコミットメントさせて大きく刈り取る。

まず、ファーストステップから。

①立ち止まって考える力を奪う。
人間には、立ち止まって考える力があります。
その商品を購入する事で、自分が得するのか損するのかを考えます。

考えると、たいてい買わない方を選択してしまいます。
できるだけ考える時間を奪ってしまいましょう。

一番簡単なのが、売り切れをあおる方法です。
人間は機会損失を、必要以上に嫌います。
今決断しないと買えなくなるかもしれないという商売は、
再入荷をしないH&Mが採用している方法で
社会心理学で「希少性」といいます。

プラチナゲルマローラーの場合、40万本売れていること、
口コミによって、考える力を奪う作戦に出ています。
「社会的承認」と「自動性」に働きかけています。

他にも、立ち止まって考える力を奪う方法には、
「権威」「返報性」「好意」などがありますが、
それはまたの機会に。

②欲を満たしている自分を想像させる。
以前書きましたが、男は征服と束縛が大好きで、
女は愛されることが大好きです。
その売りたいものが、その欲望とどうマッチするのかを、
強くイメージさせましょう。
男なら「車と美女」、女なら「車と子供」のようなイメージに働きかけます。

プラチナゲルマローラーは「美容」なので、愛されることとイコールです。

③小さくコミットメントさせて大きく育てる。
化粧品の試供品作戦です。
試供品によって化粧水を別のメーカーに変えると、
ファンデーションから口紅、その他の化粧品まで全部入れ替わってしまいます。
一つ家具を変えると、その調和を取るために全部変えたくなる心境です。
これが小さなコミットメントを大きく育てるということです。

プラチナゲルマローラーの場合、
売れた後の小さな毎日の「3分マッサージ」と「高いお金」がコミットメントです。
効くかどうか分からないけど、「高いお金」を払って、
3分マッサージを続けているのだから、効かない訳がない!
そういう思い込みの力によって結果が出るまでマッサージをする。
すると、効いてくるわけです。

いや、ひょっとすると本当に効かないかもしれないけど、
体調の変化によって肌が改善しただけなのに、
それはローラーのおかげ!という思い込みの力が働くこともあります。

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