アリストテレスは、問題解決に必要とされる知識を3種類に分類した。第1は「テクネー(技術知)」。これは実用的な技芸、つまり何かをつくり出すための道具や手法に関する知識のことだ。
第2は「エピステーメー(学問知)」。これは自然界の法則など、揺るぎない客観的事実に関する科学的知識のことを指す。現時点でまだ十分に理解できていないとしても、「それ以外の可能性はありえない」と見なされる知識である。
第3は「フロネシス(実践知)」。これは、倫理的判断と言ってもよいだろう。さまざまな価値観がぶつかり合う状況で意思決定を下すためには、多様な視点と知恵を持たなくてはならない。正解が1つでなかったり、いくつも選択肢があったり、ほかの可能性もあったりする場合に、この種の知識が物を言う。