マイクロソフトとシリコングラフィックスに2500万ドルずつ請求しろと言うこともスティーブはできた。だがそうしなかった。私との間で落としどころを探ることにしたのだ。結局、私が想定していたよりは多いがスティーブが望んだよりは少ない額を請求することになった。
この戦略は成功だった。ライセンスの契約交渉はマイクロソフトが3ヵ月、シリコングラフィックスが1年ほどでまとまった。妥結額はマイクロソフトが650万ドル、シリコングラフィックスはもう少し多い額だ。
また、シリコングラフィックスからは、映画制作に必要なコンピューターの購入に利用できる一定額の信用も手に入れた。こうして、のどから手が出るほど欲しかったキャッシュが手に入り、スティーブもご機嫌になった。