・コミュニケーションが苦手だという人の多くは、じつは雑談が苦手なのだ。どんなにコミュニケーションが苦手な人でも、必要なことくらいは言える。それは、言ってみればマニュアル作業だ。言うべきことが決まっていれば、それは何とかこなすことができる。必要なことを言う前と、言ってしまった後が困るのである。

イギリス人であれば、自分がいかに悲惨な目に遭ったかを感情を込めてアピールする場面でも、日本人は相手に気を遣わせまいと、自分の悲惨な体験も微笑を浮かべながら淡々と語る。そこには自分のことで相手を煩わせたくないという思いやりがあるのだ。その思いやりは、克己心にもつながるものとして、日本文化の根底に流れている。

・日本人にとって対話は感情的な結びつきを生み出し強化するものであるため、意見の違いは雰囲気を壊しかねないと嫌われるが、アメリカ人は意見が対立するのは当然と見なし、対立意見の衝突を楽しみながら、そこから洞察を得ようとするという。ゆえに、アメリカ人は、日本人のように意見の衝突によって友だち同士が不和になることはないとしている。

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