パッサールの言ったことは全く違いますし、その結果も違いますし、そもそもの崇高な意匠すらも全くもって違います。彼の言ったことは以下になります。当時のまま克明に記憶しております。
「肉の断面のみ。断面の身を焼くことにより、反対の面は休ませている状態。つまりは加熱とルポゼ(フランス語で休憩の意。休ませることによりジュを安定させ、急激な熱の伝達をシャットアウトする)
という原始的な工程を同時に行う。その際の温度は非常に低温度で。オーブンの中では常に150~200度という高温に常に晒されているはずです。それは余りに乱暴です。私はせいぜい100度~140度の間を行き来させる。その一方では常にルポゼ。この繰り返し」かいつまんで言うなら、このようになります。
しかし、この低温で少しづつ焼く → 休ませる。を繰り返す手法は、実は彼が先駆ではありません。昔からあります。多くの人が採用しておりました。しかしパッサールの類い稀な才能は更にその精度を高める為に、温度自体を低く設定したのです。肉のジュが蒸発しないように。焼き知縮みを避ける為に。そして真空調理との最大の違いは、「焼き目の香ばしさ」がつくことでしょうか?炭焼きほどではありませんが、逆に真空調理だと肉らしい香ばしさはつきません。フニャフニャ柔らかいのみ。