以前、海外専門の駐在員をしていたころ、日本人の客からちょくちょくクレームをもらった。これはヨーロッパならではのクレームである。いわく、
「床にスーツケースを開けて広げられないほど部屋が狭いのよ!」
「日本人が小さいからって、わざと狭い部屋をあてがったりして」
「そりゃわたしたちは日本人だもの、たしかにうさぎ小屋に住んでいるけど、海外に来てまでこんな仕打ちはないんじゃないの?」
と挙句には、目に涙をいっぱいにためる中年のご婦人までがいた。
すべて誤解に満ち溢れている!
ヨーロッパ人が広い部屋に住んでいると、どうして思い込んでいるのか?
それはきっと、われわれ日本人がうさぎ小屋に住んでいると思っているからである。
ここで上のデータを見てもらいたい。
アメリカが断トツ1位になったのは、たぶん想像どおりだろうが、日本の5位はたぶん想像を超えている。
添乗員をやっていたころ、「実は意外と日本の家屋は広いんですよ」と、このデータを見せて説明できていたなら、客の納得度もさらにアップしていたにちがいない。
ではどうして日本人は、うさぎ小屋に住んでいることになっているのだろうか?
資料によれば、ECで日本の報告書をつくったおりに、当初フランス語で日本人は「cage a
lapins」に住んでいると報告されていた。これが英語に直訳といううか、誤訳されて、日本語で「うさぎ小屋」となったのである。しかし、「cage alapins」というフランス語は、「都市型の集合住宅」といった意味もあり、これから連想されるのは、当時開発されていた高島平などの巨大集合住宅だっ
た。