「何かおかしい」と感じていた違和感の第二は、ラジオ番組に出演した猪瀬・副知事の発言であった。いくつか前のエントリーに書き起こしを記したので、それをもう一度掲載する。

猪瀬:「国が怖いわけですよ。それはね、やっぱり国というのは、税務署もあり、金融の・・・あの金融庁もあり、それはだから地権者だってビジネスがあるわけですから。それはやっぱり、からめ手からいろんなことがあったんでしょう、それはね。」

文字にしてみればこれだけのものだが、実際に音声にして聴いてみると、副知事の発言はすこぶる歯切れが悪いのである。言いよどむ・・・という表現がぴったりだと思う。奥歯に物がはさまったような物言いは、すなわちそこにヒントがあるといえる。

地権者は国が怖いのだという。その国のたとえとして「税務署」をまずあげた。ここまでは、なんとなく理解できるのである。問題はその次である。副知事は「金融の・・・」と言いかけて言いよどみ、「金融庁」という言葉を出した。なぜ、ここで「金融庁」が出てくるのだろう?これは素朴な疑問であった。

この猪瀬副知事の「金融庁」の言葉が、ずーっとひっかかっていたのである。地権者が何か事業をしているのであれば、むろん税務署は関係あるだろう。だが、あくまで個人の企業で金融庁とは大げさな。そんな疑問である。

で、ここで思い出されるのが週刊・文春による地権者の借金の報道である。「40億円もの借金がある」とすっぱ抜いたが、当該の記事(2012.08.01 )によれば、次のような内容である。(一部抜粋)

不動産登記簿謄本によれば、三菱東京UFJ銀行は一昨年3月末、國起氏が所有する物件に極度額24億5000万円の根抵当権を設定し、38件もの担保を取っている。一方、埼玉縣信用金庫も昨年9月に大宮区内の不動産に極度額15億円の根抵当を設定している。

 しかし、埼玉信金が設定した根抵当の担保は、土地2筆(計1000平米)と平屋の建物2棟(延床面積計119平米)の4件のみ。公示地価に照らし合わせると、2億3000万円の価値にしかならない。

「根抵当権の極度額は担保評価額の110%が一般的ですから、明らかに担保としては足りないですね。尖閣列島の所有者だから取りはぐれはないだろうという見込みで貸し込んだのではないでしょうか」(不動産鑑定士)

これについては、「根抵当」であるので、それが即借金の額ではないという解釈もある。さして金融に詳しくないので、何とも言えないが、どのみち地権者には負債があることは事実なのだろう。

金融に詳しい人に聞くと、世の中によくある話として教えてくれたのが以下のもの。あくまで一例。会社を乗っ取る時などに用いられる方法だが、(乗っ取りたい会社に)融資している金融機関に圧力をかけて、借入金の即時返済を迫らせる。返済できなければすべて差し押さえる・・・というやり口。

ここで、なんとなくつながるのが根抵当を設定していた銀行の存在。もしかしたら、副知事の例の「金融庁」って、ここに関係あり?いろいろ手は回せるわなーと、ひとしきり思った次第。

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