【質問】
太平洋戦争で米国が広島につづいて長崎にまで原爆を落とした戦略的な理由はあったのでしょうか.?
一発おとせば十分だったと思うんですけど.【回答】
本当は小倉に落とすつもりだったんだけど,前日爆撃された八幡製鉄所の火災の煙と雲で投下地点が確認できず,第二目標の長崎に落とした.
それもやはり雲で投下地点がよく確認できず,雲の切れ間から適当に落とした,というのが真相だったり.米軍の計画だと,日本が降伏しない限り原爆は投下しつづける計画だったが,広島に落とされたウラニウム型,長崎に落とされたプルトニウム型の二つの形式
は,最低でも各一発ずつは実際に落として威力等を比較する予定だったので,どう情勢が動いても最低二発は原爆が日本のどこかに落ちたと思われる.▼ 2発連続で落としたのは,1発だけだとその1発しかないと思われるから.
実際,日本陸軍要人の中には,広島原爆の一報を聞いて,
「これ1発だけしかないはずだから,降伏する必要はない」
と主張した人もいた.
間髪をおかず2発連続で落とすことによって,原爆をたくさん持っていると思わせることができる.
これは日本に対してだけではなく,特にソ連を威嚇する意味もある.
ドイツ降伏後,米ソはヨーロッパの戦後処理,特にポーランド問題で鋭く対立していた.
アメリカの目は,極東よりヨーロッパを向いていたと思う.広島型と長崎型で種類が違うのは,ウラン濃縮には非常な時間がかかるため.
ウラン型は広島に落としたリトルボーイ1発しかなかった.
リトルボーイは爆弾の構造が簡単なため,爆発実験を行わず,広島で実戦に投入した.
プルトニウム型は原料の入手は容易だが,爆発の構造が複雑なため,ニューメキシコで爆発実験をしたあと,長崎に投下された.実験実験というが,新兵器を初めて実戦に使うときは,データを集めて効果を確認するのは当たり前のことで,どこの国でもやってること.