ハッキングの歴史において、産業制御システムを直接的な標的としたマルウェアが見つかったことは数回しかない。産業制御システムとは、デジタルなシステムと物理的なシステムとの橋渡し役を務めるコンピューターのことを指す。そこを狙うマルウェアはかなり珍しいのだが、過去にイランの核濃縮用遠心分離施設を使用不能にしたり、ウクライナで停電を発生させたりした事例がある。
そうしたなか今回見つかったマルウェアは、産業制御システムを熟知した何者かによるものだ。洗練さには欠けるものの、なじみ深い方法で対象を攻撃する。つまり、標的とするシステムで実行中のソフトウェアプロセスを停止させ、実行に必要なデータを暗号化し、解除のための身代金を求めてくる。いわゆるランサムウェアだ。