かつてAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)は、ウイルス分類学者が介入する前には、非公式に「GRID(Gay-Related Immune Deficiency=ゲイ関連の免疫不全)」と呼ばれていた。この名は同性愛嫌悪をかき立て、デマを拡散する一方で、注射器でドラッグを打つ依存症患者や輸血を受ける人もこの病気にかかる可能性がある点が見過ごされる結果を生んだ。
こうして、原因となるウイルスを発見して名付ける“戦い”が起き(最終的にHIV=ヒト免疫不全ウイルスと呼ばれることになった)、病気の特定や命名(AIDS=後天性免疫不全症候群)でも争いが起きた。