テキサス大学オースティン校銃乱射事件
1966年、米テキサス大学オースティン校で、25歳の男がキャンパスの時計塔(90メートル)の展望台に登って、次々と人を狙撃する事件が発生した。犯人のチャールズ・ホイットマンは元海兵隊員の一級狙撃手で、この狙撃によって25人を殺害し、32人に重軽傷を負わせた。ホイットマンは、「自分がこれから起こす事件によって家族を悲しませたくない」という理由で、この前夜に自分の母親と妻も殺害していた。ホイットマンは、キャンパスに駆けつけた警察によって射殺されたが、彼は犯行前に遺書を書き残していた。この遺書には、「最近、頭痛がひどい」「自分が異常で不合理」「自分の行動が理解不能」などと書かれ、「もし自分の生命保険が有効なら、自分が犯したような事件の再発を防止するために、その金で自分の体を医学研究に役立てて欲しい」とも書かれていた。実際、ホイットマンの死体を検視解剖してみると、人間の情緒を司る器官である扁挑体が脳腫瘍によって圧迫されていた。当時、この脳腫瘍が事件を起こす原因になったのかどうか、医学的な根拠は不明だった。しかし、それから35年後に日本で発生した付属池田小学校の事件において、再び、この脳腫瘍が注目されるようになった。犯人の宅間守の脳を検視解剖したところ、ホイットマンと同じ箇所に脳腫瘍が発見されたからである。