いったいどうやってパリでは、自分の道を切り拓いて出世して行けると思うね? それには才分を輝かせるか、あるいは器用に堕落するかしかないさ。人間のかたまっているこの密集のなかを、大砲の弾丸のように突破するか、またペスト菌のように忍び込んで行くのほかはないんだ。誠実だなんて、なんの役にも立つものか。天才の力の下に凡人は屈しているが、天才を憎んで、蔭では躍起になってあげつらっている。天才は分配しないで独占してしまうためさ。しかし天才が頑張っているかぎり、凡人は屈服している。簡単に言えば天才を泥中に葬り去ることができないうちは、膝まずいて崇めたてまつるってわけなんだ。堕落は隆盛だが才能はまれだ。うようよしているぼんくらどもの武器は堕落なんだ。

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