「ところてんは、海藻の天草(てんぐさ)類を煮詰めて寒天質をこし、型に流し込んで冷やし固めた食品を指します。ところてんの歴史は古く、538年の仏教伝来の頃、中国からの精進料理の伝承に伴い、こんにゃくと共に、その製法が伝えられたといわれています。

文献上では、701年に制定された『大宝律令・賦役令(ぶやくりょう)』の中に、貢納品として『心太(こころふと)』が最古の記述として残っています。奈良時代や平安時代には、ところてんを扱う店もありましたが、上流階級の間でぜいたく品として、からし酢をかけて食べられていました。室町時代の末ごろになると、世間一般に海藻を食べる文化が浸透し、徐々に庶民にもところてんを食べる文化が広がっていきました。今では、地域によってさまざまな食べ方で親しまれています。

ちなみに『心太』という表記で、現代では『ところてん』と読みます。ところてんが『凝(こご)る(凝固させる)』作業から、『ここる』『こる』と呼ばれるようになり、やがて『心』の字があてがわれたといわれています。一方、『太』の字は『太い海藻』を意味しています。室町時代までは『心太(こころふと)』と呼ばれていたのですが、後に天草の『天』と合体して『こころてん』へ、江戸時代には『ところてん』へと転じていきました。

そこで、漢字はそのままに『心太=ところてん』になったといわれています」

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