Altoのデモンストレーションを担当したのはラリー・テスラーというエンジニアだった。彼は「マウス」なるものを使って画面上のポインターを動かしてみせた。キーボードでコマンドを入力してコンピュータを操作するのが主流だった時代のことである。テスラーは画面上のアイコンの一つをクリックしてみせた。そして「ウィンドウ」を開いたり閉じたりして、一つのタスクから別のタスクへと手際よく移ってみせた。
テスラーはエレガントなワードプロセッサのプログラムを使って文書を書き、世界初のイーサネットを使ってPARC内の同僚と電子メールを送りあったりしてみせた。テスラーはそのときのことを、こう回想している。
「ジョブズは期待に胸を膨らませていました。そして私が画面上でできることを実演していくと、1分間ほどそれに見入り、それから飛び跳ねんばかりになって部屋中を行き来して大声で叫びました。『なんでこれを眠らせているんです? スゴいものじゃないですか。革命的ですよ!』」