しかし、それにしてもなぜソフトバンクが、WEB広告どころかTV広告まで打ってソフトバンクの「架空の案」を推し進めようとするのか。これには私なりの推論があります。
ソフトバンクの案の一番の肝は、光の整備期限でも貸し出し価格でもありません。一番の肝は、「メタル線の全廃」です。現状の電話サービスとADSL サービスを提供している線をすべて廃止することに一番こだわっています。ここに特にこだわっているところから、ソフトバンクの目的が透けて見えます。
ソフトバンクは、今、ADSLの加入者を大量に抱えています。そのため、日本中のNTT局舎にADSL収容装置を設置しています。もし、メタル線が全廃と決まれば、ADSLもすべて廃止です。廃止費用・移行費用は新しいアクセス会社が負担することになっています(ソフトバンク案では)。
となるとどうなるか。ソフトバンクは1円も出さずに、ADSLサービスをやめることが出来ます。つまり、ソフトバンクの最大の目的は、「だれにも文句を言われず1円も出さずにADSLをやめたい」と言うことなのではないか、と言うのが私の考えです。
実は、Yahoo!BBに入っている知り合いから、おかしな話を聞き始めました。それは、「11月ごろから突然、Yahoo!BBの光への乗りかえ勧誘が増えた」と言うのです。一社や二社ではなく、十社近くのYahoo!BB代理店から電話があり、「工事費も無料にするし料金などの条件はすべて引き継ぐので光に乗りかえて欲しい」と営業されたというのです。
光に乗りかえても料金もほぼ引き継ぐという条件から考えれば、増収のための営業ではありません。ではなぜこういう営業を行っているのか。それはもう、ADSLを止めたいということしか考えられません。この話を聞いたときにいろいろなものが一気につながったわけです。
そう、ソフトバンクのADSLの局舎装置、そろそろ耐用期限になるんです。ソフトバンクの言う「13年」だとしても、ここ3~4年の間に耐用期限が来てしまう。これが、とにかく初期の獲得攻勢のために日本中の局舎にばら撒いた装置すべてに到来してしまう。ADSLの初期の過大投資に伴う累積損失は大変なもので会計操作で消えてはいますが実質は赤字のまんまだったと聞きますが、要するにそれと同じものが「もう一巡」来てしまうわけです。
ADSLのサービスを継続する限り、どんなに利用者の少ない地域であっても設備の更改をしないわけにはいきません。よほどの事情がない限り、事業者側から一方的に回線を切断すると言うことはできないためです。おそらくこれに大いに頭を痛めた結果、いっそメタル全廃と吼えまくってみるか、と言うのが今回の「光の道」の一件だと思っています。