古代ギリシャの時代より、柳の皮を煎じて飲むと、不思議に痛みが治まると知られていた。柳の鎮痛作用は広くアジアでも有名で、お釈迦様が歯の痛みを抑えるため柳の枝を口にくわえたといわれる。その後、仏教と一緒に柳の鎮痛効果は日本にも伝来し、いまの「つまようじ」の由来となった。
19世紀にはドイツの科学者が、柳の皮から解熱・鎮痛作用をもつ有効成分の合成に成功した。それはバイエル社から「アスピリン」という名前で販売され、人類を痛みとの闘いから救うことになる。20世紀には、アスピリンが心臓病の再発も防ぐのではないかと期待された。例えば1950年代のアメリカで「およそ8,000人の患者に1日あたり1~2個のアスピリンを飲んでもらったら、その後8年間にわたり、心臓や脳に血栓ができた者はいなかった」という報告がされている。