ビオンテックとは、同社の中核技術であるメッセンジャーRNA(mRNA)をインフルエンザワクチンに使うため、提携関係にあった。これまでのワクチンの開発は、まず毒性を弱めた当該ウイルスの変種を育てるところから始まるが、その育成だけで何カ月もかかることがある。このため、たとえば1960年代に開発されたおたふくかぜワクチンは、開発期間が史上最短のワクチンの一つとされているにもかかわらず、それでも研究所段階から世間に行き渡るようになるまで4年の時間を要した。ところがmRNAワクチンの場合、病原体の遺伝子コードを使って人工的に合成するので、これまでのワクチンよりはるかに短期間で開発できる。