人を信じることは、君主にとって禍の源である。人を信じればその人にしてやられる。臣下が君主のいうことを聞くのは権力によってやむを得ず従っているというだけのことであり、臣下は常に君主にあだをなそうと狙っている。そして悪しき臣下は君主の妻や子も利用してくる。君主は身内の人間であっても信頼してはならない。また君主の妻には、夫に死んでほしいと思う動機が存在する。男は年をとっても女遊びをやめないが、女はだんだん容姿が衰えてくる。すると次第に夫に疎まれるようになり自分の子が世継ぎになれるかにも不安が生ずる。また夫が死んで自分の子が君主になれば、君主の母親ということで政治に口を出すこともでき、自由に男をはべらすこともできる。そのようなわけで君主は妻による暗殺に注意せねばならない。