若者が酒を飲まない理由が解った。昔は酒を飲んでウサをはらすしかなかった。まさに飲まなきゃやってられないという状態。酒を飲んで酔ってさえいれば、先輩だろうが上司だろうが、少々の暴言はokだったし、「先輩は何も解っていない!」とか「課長はなんでボクばっかりに意地悪するんですか」といったような甘えも許された。むしろ、酒の席ではそうやってガチで激論をする事が良いとされた。そして飲んで笑って泣いて会社の人達との一体感を高めていった。会社でなくとも、親戚、友人などとの関係もそうやって作り上げていくものだった。
こうやって酒を飲む事で、他人の考えている事を知ったり、自分の考えている事を発言したり、理想と現実のスリ合わせやら、会社では教えてくれないような事なんかを学んでいった。もちろん、全員が全員では無いけど、概ね、そうやって大人になって行くものだった。それが20世紀だ。酒という飲み物そのものの魅力もあるが、たんにアルコールという成分が必要だったんだろう。
さて、若者は酒を飲まない。こちら側からすると、そんなんで人生の機微はわからんだろう、何も知らんクソガキめとなるわけだが、実は全くそうではない事に気が付いた。21世紀の若者は酒なんか飲まなくても、自由に感情をありのままに発露できるネットがある。仲良くできるやつを探して、同じもの、同じ体験を共有することもできる。もちろん、泣いたり笑ったりもできる。悩みも聞いてくれるし、同じ悩みを持つやつと知り合いにもなれる。適切なアドバイスがもらえたり、別の角度からの意見ももらえたり。年齢、地位を問わず知り合いになれる。周囲との一体感を持つくらい簡単なのだ。アルコールなんて必要無い。携帯、もしくはPCと回線があればいいのだ。アルコールより健康的で、経済的で、かつ優れている。
だからこそ、会社人間である必要も無くなる。人間は寂しがりやだから、どこかで何かと繋がっていたい。一体感を持ちたい。20世紀の人間は家族や会社で繋がっていれば寂しくも無かったし、スキルも上げられる、人間も大きくなれるという感じだった。家族と会社と酒があれば、良かった。しかし、21世紀の若者にとって、会社とは自分の才能と時間をお金に変えてくれる装置でしかない。寂しさを解消したり、スキルを上げたり、楽しい事は全てネットにあるのだ。酒が必要な場面など無いのだ。
酒はもうすでに昔の人が利用していた便利なツールになってしまった。今はgoogleで検索すると色んな事が調べられる。昔は酒を飲んで、hogehogeっていったいなんなんだよ。と誰かに言う必要があった。目の前の人が知っていれば教えてくれるか、誰それに聞けばいいよと教えてくれた。もうほんとに酒って20世紀の便利ツール。
だから、21世紀の若者は以上に書いた点については、酒なんか飲む必要は無い。酒をツールとして使う必要は無いんだ。胸をはって酒を飲まないでいい。ただ、酒は20世紀の便利ツールだったという事を覚えておいて欲しい。その使い慣れた便利ツールを愛用する人がいる事を知っておいて欲しい。ネットを使いこなす人達は、ネットを使いこなせなかったり、ロクに使えない人を軽蔑したり、バカにしたりするだろう?酒を飲むオジサンにしてみれば、酒という便利ツールを使いこなせない、使おうとしない人を、ついバカにしてしまったりするんだ。同じなんだよ。
そう、みんな同じなんだよ、飲むやつも飲まないやつも。だからさ、下らない言い争いなんて止めてさ、ゆっくり飲もうよ。
もちろん、酒じゃなくていいよ。水でもお茶でも。
飲もうってのは、ゆっくり腹を割って話そうよって事だよ。
飲めば解り合えるよ。飲もうよ。
ん?飲めば解り合えるだなんて幻想?
うん、そうだよ、幻想だよ。
でも、飲めば解り合えるって事になってるんだよー
だから飲んでればいい。
20世紀に浸っていればいいんだよー
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飲めば幸せなんてウソ。本当はみんな知ってる。
もちろん、ネットがあれば幸せなんてのもウソ。
幸せは酒にもネットにも無いよ。
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どこにあるんだろうね。
今度、一緒に飲みながら探そうよ。
21世紀の若者が酒を飲まない本当の理由 (via petapeta)