新生児がBCGワクチンを定期接種する国は、国策としてのBCGワクチン接種を中止した国やBCGワクチン接種を実施したことのない国と比較して、報告されている新型コロナウイルスの感染者数と死者数が少ないことが指摘されている。

例えば、乳児のBCGワクチン接種を義務づけているポルトガルでは、確認された新型コロナウイルス感染者のうち死亡例は3.2パーセントである。これに対して隣国のスペインでは、10.5パーセントが死亡している。

「このような生態学的研究では、国内の人口構成や疾病負担の違い、新型コロナウイルス感染症の検査率、パンデミックの段階の差異などの多くの交絡因子からバイアスが起きやすい」

新生児にBCGワクチンの定期接種が実施されている多くの低所得国では、大規模な新型コロナウイルスのアウトブレイク(集団感染)が起きている。

「何年も前に接種したBCGに何らかの予防効果があるのかという疑問と、いまBCGを接種すると自然免疫の訓練強化に役立つかという疑問はまったく異なるものです。後者がわたしたちが関心をもっていることであり、今後数カ月で効果が現れる可能性があります」

BCGワクチン接種では小さな傷痕が残り、接種グループが一目瞭然になることから、この臨床試験ではプラセボワクチンは使用されない。

「BCGに効果があるなら、(新型コロナウイルス感染症に対する)ワクチンが手に入るまでの応急処置になるかもしれません。でも繰り返しになりますが、過度の期待を寄せる前に、まずは臨床試験のデータを待ちましょう」

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