エンジェル投資は歴史的に、米証券取引委員会(SEC)が定める資産要件のおかげで若者には縁のない行為だった。上場企業の株式は誰でも購入可能だが、未上場企業への投資は高いリスクと投機性を伴うので、SECによって厳しく規制されていたからだ。

1930年代以降、エンジェル投資は年収が20万ドル(約2,200万円)を超える人か、100万ドル(約1億1,000万円)以上の純資産をもつ人だけに許される行為だった。

ところが、SECは16年に新たなルールを設けたのである。これにより米国証券法の定める適格投資家の要件を満たしていない人からも、少額の資金を受け取れるようになった。

さらに20年には、適格投資家の要件がさらに緩和された。「未公開株市場について理解している者」であればエンジェル投資家になることが可能になったのだ。

現在は民間の投資ファンドに勤務する人や「高度な金融知識」を証明する資格試験に合格した人は、SECの定める資産要件を満たしていなくても投資活動に参加できる。また、これに該当しない人も、個々の投資家を代表するリードインヴェスターが全体をひとつのグループ(シンジケート)としてとりまとめる、「特別目的事業体(SPV)」に資金を投じることは可能だ。

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