人気のあった司会者の逸見政孝氏が、初回手術から10カ月、再手術から3カ月で亡くなったことで知られるスキルス胃がんは、悪性度が高く進行が早いとされ、見つかると同時に「余命数カ月」と宣告される患者も多いという。しかし、「治療しない」と決めた私の患者には、診断から数カ月で亡くなった人は皆無。逆にこれまで通りに仕事や好きなことを続けて、3年から9年も生きた方は何人もいる。

元気な人が、あっという間に変わり果てた姿で逝くのは、がんの治療のせいといえるだろう。逸見さんに限らない。肺がんの抗がん剤治療を始めて2カ月半で逝った芸能リポーターの梨本勝氏、先頃食道がんの手術から4カ月で亡くなった歌舞伎役者の中村勘三郎氏など、医者がすすめる「がんの治療」で余命を短くされた悲劇だと私は考えている。がんが恐ろしいのではなく、「がんの治療」が恐ろしいものなのだ。

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