メンバー制の定額制配信にするか。ダウンロードごとに課金するか。ケーブルテレビのように、サブスクリプションとアラカルトを組み合わせるモデルも検討したし、広告モデルを併用して無料会員を維持する道も検討した。後年、iTunesやSpotifyで脚光を浴びるビジネスモデルはほぼ全て、Napsterを起業した段階でショーン・パーカーの頭脳に浮かんでいた。

だがSonyビデオデッキ判例のことを考えると、こうした真っ当なビジネスモデルを起動した瞬間、違法が確定してしまう。お金が発生すれば、私的複製でなくなるからだ。流出したメモを整理すると、パーカーの建てた戦略はこうだった。

1 ビジネスモデルをあえて持たない。「私的複製」を維持して、合法の可能性を保つ
2 訴えられるのは間違いない。だが、裁判の間に、ユーザー数1000万人を達成する
3 国民的人気を背景にして和解し、メジャーレーベルにNapsterを譲渡・売却する
4 メジャーレーベル自ら、Napsterでサブスクリプション等のビジネスモデルを起動する

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