1つの郡全体、あるいは1つの州のかなりの地域がハリケーンの直撃を受けて被災した場合は、どうなるでしょう。保険会社が保険金の支払いをすべて独力でまかなうことは不可能です。
そこで保険会社は、大量の保険契約をひとまとめにして、別の保険会社と改めて保険契約を結びます。それが再保険会社です。
主な再保険会社としては、スイス再保険会社(スイス・リー)、ミュンヘン再保険会社、ジェン・リー(ジェネラル・リインシュアランス)など、知名度は一般の保険会社より劣っても、非常に巨大な会社を挙げることができます。こうした国際的な再保険会社は、リスクを世界中に、そして、竜巻、ハリケーン、地震、暴風、洪水など多くのリスク分野に分散させます。
リスクの種類を分散させることに加えて、再保険会社は、リスクの一部を小分けにして「保険リンク証券」の形に変えることもできます。天候デリバティブ、俗に言う「大災害ボンド」はその一つです。
具体的には、その保険商品の対象になっている災害が発生する確率と、災害が発生した場合に生じるコストを専門の企業がランクづけします。そのランクづけに基づいて、その証券を投資家が――保険の対象になっている個々の住宅や都市に関して、まったく知識も関心もない投資家が――売買します。そうした投資家たちは、投資による利益と引き換えに、一定期間内に所定の災害が発生した場合、特定の金融リスクを引き受けることになるのです。
その結果として、リスクを売り買いする人たちと実際の不動産の間に、数ステップの距離が生まれます。どこかで聞いたような話だと思いませんか。