DLPFCは炎症が治まると「痛みよ、鎮まれ」という信号を出し、痛みという感覚も同時に治めてくれる。ところが、DLPFCの働きが衰えると、脳が生み出す「痛い」という感覚を鎮めることができなくなり、たとえ炎症が治まっても痛みが継続してしまうわけだ。つまり、慢性腰痛の痛みとは、脳が作り出す“幻の痛み”だったのだ。
ではなぜ、慢性腰痛持ちの人のDLPFCは衰えているのか。これも最新の研究で、痛みへの恐怖が関係していることがわかってきた。ぎっくり腰を起こした人はそのときに感じた痛みがトラウマとなり、また同じ痛みを繰り返すことへの強い恐怖心が生まれる。恐怖心を感じるとDLPFCにストレスがかかり、神経細胞が疲れてしまって働きが衰え、鎮まれという指令が出にくくなるのだ。