ラボの培養細胞および実験マウスの分子レベルで有効性を判断し、20あったワクチン候補を4月12日までに4つに絞り込んだ。通常であれば、人体を対象にした第1相試験(フェーズ1)(20~100人の被験者で数カ月かかるのが一般的)に踏み出す前に、マウスより大きな動物で実験を繰り返すところだが、緊急性を考慮し、我々は2つの実験を同時並行で進める許可を申請した。FDAとドイツの規制当局であるポール・エーリッヒ研究所はこれを認め、さらに第2相試験(フェーズ2)(数百人の被験者で1~3年かかるのが一般的)と第3相試験(フェーズ3)(数百~数千人の被験者で1~4年)を一度にまとめて行うという前例のない申請も、同様に認可された。
4月23日、我々は第1相試験に着手した。ドイツで少数の治験ボランティアがワクチン候補を接種し、我々は4種類のワクチン候補の効き目に関するデータを集め始めた。免疫反応は見られるか、深刻な副作用(副反応)はないか──。さらに5月までにはワクチン候補を2つに絞り込み、さまざまに条件を変えてのワクチン接種の臨床試験を米国で開始した。