イタリアの有名シェフ、ダヴィデ・オルダーニのミラノにあるミシュラン星付きレストラン「D’O(ドー)」には、ウェイターと呼ばれる人がいない。高級レストランなのにおかしいと思われるかもしれないが、給仕の仕事は、料理人の定型業務に含まれている。料理人たちは、毎週交代で直接顧客の注文を取り、レストランという環境における顧客ニーズを身をもって体験する。
料理について熱く語り、変化する顧客ニーズを理解するには、ウェイターより料理人のほうが明らかに向いている。料理人たちは、レストランの顧客との接触を通じて得たインサイトを、季節ごとに行われるメニュー革新会議に持ち寄っている。