羽生は同じ非公式戦の「獅子王戦」でも藤井と対戦し、今度は勝っている。話題になったのは、戦型に「藤井システム」を採用したこと。羽生と同い年の藤井猛九段が創案し、2000年前後の将棋界に革命を起こした戦型だが、近年の採用例は極めて少ない。2002年生まれの14歳には経験に乏しいのは必然で、羽生はなりふり構わず勝負に徹したことになる。
「失礼ながら横綱の立ち合い変化という印象も受けます」と言うと、羽生は意外な事実を明かした。
「でも、指してみると、最近の実戦に出てこないような形でも藤井さんは詳しく知っているんだなという印象を受けましたよ。驚きました」