32歳くらいの時に『三国志』を読みました。夫が小学生の時から読んで大切にしていた講談社文庫、吉川英治さんの『三国志』を持っていて、読みすぎてボロボロになっていて。読め読めと言われたんですけれど漢字も多いし登場人物も多くて無理、と手を出さなかったんです。山本周五郎を読んで昔の時代の小説にもちょっと慣れてきていた頃に「第一章を読んでつまらなかったらやめればいいんだから」と言われて、ならばと読んでみたらあまりの面白さに「えーっ!」となりました。すっかりハマってそこから3か月くらいずっと読んでいたのですが、あれはものすごく幸せな読書体験でした。あまりに夢中になったので夫もびっくりしていました。伊藤忠で働いていた時期だったんですけれど、仕事をしていても『三国志』のことしか頭にない。同僚の女の子が買ったという真っ赤なBMWを見て「赤兎馬!」と言ったくらい。