「突然、『VS(1対1の研究会)をしてほしい』と電話がかかってきたんです。でも断りました。『なぜですか』と聞かれたので、はっきり言いました。『君は弱いから、自分の勉強にならない』と。『それでも』と言うので『では1回だけ』ということになったんです」
「『教わるからには、鈴木先生の棋譜を全部並べます』と、彼はノートを取って私の将棋を勉強していたんです。そして『鈴木先生が次に当たる人はこういう傾向があります』と、私の対戦相手についても調べて来てくれた」。
「次回の日程を決める際、4日ほど候補を出すと『全部お願いします』と言われるんです。うちの子から『休みの日も永瀬君とばかり将棋して、全然構ってくれない』と大泣きされたこともある」
練習将棋のさなか、息を切らしている永瀬二冠に「風邪をひいているのでは?」と尋ねたところ、40度近い熱に気づかずに指していた、という逸話まである。
「将棋の勉強がつらすぎて『20歳になったら遊びたい。後はこれまでの貯金で食っていく』と言ったんです。それで飲み屋やカラオケに連れて行ったんですが、思うところがあったようで、次に会った時には『やっぱりあと5年、死ぬ気で努力してみます』と伝えられました」
藤井七段は研究相手の永瀬二冠について「トップの力を教えてもらい、将棋に対する姿勢も見習うべきところが多い方」と語った。