ビッグバンというのは、超大雑把に言えば、「凄く小さな“宇宙の種”みたいなものが爆発するように一気に膨張して宇宙が生まれた」という話である。ビッグバン説は、「宇宙背景放射」と呼ばれるものが正確に測定されたことで、ほぼ正しいと認められている。
じゃあ、その前には一体何があったのか、ということだ。もう少し具体的に言えば、「“宇宙の種”みたいなやつは突然どっから出てきたんだよ」ということだ。
量子論の基本原理である「ハイゼンベルクの不確定性原理」によって、「ごく僅かな時間であれば、何もない空間に突然粒子が現れることが許容される」ことが分かるのだ。
『量子重力は、宇宙は無から生じてもよいということを教えてくれるだけでなく(この場合の「無」は、空間も時間もないという意味であることを強調しておこう)、むしろ宇宙が生じずにはすまないということを示しているように見えるのである。「何もない」(空間も時間もない)状態は、不安定なのだ。』