「新刊をどの書店に何冊送るかは、大抵は出版社ではなく取次が決めています。都会の大きな本屋にはたくさん置いてあるのに、地方の書店には1冊も入荷されないことがよくあるのは、それが理由です。取次は書店から商品代金を回収して出版社に支払い、返品代金を出版社に代わって書店に支払う、決済・金融の代行もしています。だから返品があればその代金を出版社は取次に支払わなくてはいけないけれど、さらに別の本を発行して相殺することが多い。本が売れないのに発行点数ばかりが増えていくと、出版社は結果的に自分たちの首を絞めることにもなりかねません。2016年に入って太洋社と大阪屋という2つの取次が消滅しましたが、取次を中核にしたシステムはもう、時代の変わり目を迎えているのかもしれません」