教師役となった被験者は、最小電圧15Vから最大450Vまでの電気ショックを与える30個のボタンの前に座らされ、別の部屋にいる生徒に単語の問題を出す。役者である生徒は“台本通り”わざと間違え、15Vずつ電圧が上がるスイッチを教師役に押させていく。電圧が高くなってくると、あらかじめ録音されていた、とても演技とは思えない生徒の絶叫が響き渡る(実際には電気ショックは与えられていない)。ここで被験者が躊躇すると、白衣を着た男が「続行して下さい」と実験を促す──。
この実験で被験者が最後までボタンを押す確率は、65パーセントに達した。1974年以降、ミルグラムはボタンの数を30個から10個に減らして実験を続けたが、結果は85パーセントにまで上昇した。