僕は建前で悲しいふりをするのが苦手で、なのにそこにいる全員が揃いも揃って見事に神妙な顔をしているのを目にすると、もう葬式全体が“喜劇”のように見えてくるんです。そして、いちどその「魔のループ」に入ってしまったら、完全に終了です。がまんすればするほど、笑いが僕を攻め立ててくるのです。
また、そんな儀式に参加して一生懸命まわりと同じように振舞おうとしている自分のことも、ひたすらおかしくなってしまう。言ってみれば、僕は他人の死にあまり興味がないのかもしれません。いつも「死にたくない」と思って生きているせいか、いったん死んでしまった人間には、ほとんど興味が持てないようなのです。