トップに立った人、成功した人は、自分の成功は自分の功績だと考えるようになります。このため、成功に伴い市場がもたらすあらゆる物質的な恩恵は、自分の手柄だと考える。一方で、取り残されてしまった人は、自分はそうした運命に値するに違いないと考える。こうした成功についての考え方は、一見魅力的な考えを反映しています。それはmerit(能力、功績)、またはmeritocracy(能力主義)です。機会が平等であれば、レースに勝利した人は、勝利に値する、という考え方です。でも、それは勝者の謙虚さの欠如につながります。成功を収めた人が、幸運にも助けられたということを忘れてしまうのです。そして自分ほど幸運でない人を見下すようになる。「能力主義の横暴」というのはそういう意味です。