・進化の基準を知性(意識の複雑さ)に置くなら、ヒトが最もすぐれているのは疑いない。だが子供の数や繁殖度で進化の効率を測るのなら(学問的にはこちらが主流だ)、最も成功した生き物はアリやハチなどの社会性昆虫になるだろう。
・繁殖の基準を子供の数ではなく血縁度で測ることができることに気づいた。子供を1人生むことと、兄弟姉妹が1人増えることは、血縁度から見れば同じだ。だったら、子供をたくさん産むことで繁殖度を上げようとする個体がいる一方で、自分は子供を産まなくても、兄弟姉妹をたくさん作ることで結果として繁殖度を高める個体がいてもおかしくはないだろう。
・現代の進化論は自然選択の原動力を、「できるだけ多く子供を残すこと」から「できるだけ多く血縁をつくること」へと拡張した。これを包括適応度という。