中国の神話では、「天皇(てんこう)」・「地皇(ちこう)」・「人皇(じんこう)」の3人の伝説の皇が世界を創造したとされます。その中でも「天皇(てんこう)」は最高神です。道教でも、「天皇(てんこう)」が崇められています。
7世紀半ばに君臨した唐の第三代皇帝の高宗が「天皇」を名乗ります。なぜ、そう名乗ったのかは謎とされていますが、一つの解釈として、高宗は道教に強く影響を受けており、「皇帝」を越える最高存在として、「天皇」を考えていたのではないかと見られています。
720年に完成した『日本書紀』では、聖徳太子が煬帝に送った国書(608年)で「天皇」が使われていたと書かれています。これは後追いで創作されたものとする説があります。この説では、日本が「天皇」を使う以前に、中国で既に高宗が「天皇」を使っており、これに触発され、日本も「天皇」を使いはじめたとされます。
高宗の在位期間の649~683年と「天皇」称号の確立時期がきれいに一致することからも、この説は有力であり、『日本書紀』が後から、国書原文で使われた称号を「天皇」と書き換えたという可能性は極めて高いでしょう(「天皇」後追い説)。