羽生 コンピュータは人間が作り出すものですから結局は。人間が作り出したコンピュータVS人間なんですよね。
―そういう意味で、羽生さんが将棋の理論を教えるとすれば、どういうことを教えますか。
羽生 私はその辺は詳しくはないのですが、もし自分がやるとすれば、つまり定跡とか詰まし方ではなくて、この形の時にはこう動かした方がいいとか、この形とこの形を比較したら、こっちの方がいいとか。そういう部分的な良し悪しなり、部分的な形なり、こっちの方がいいケース、これはこっちの方が悪いケースというのを莫大な量を入力していくのがいいと思います。
―それは駒の損得でもスピードでもないんですね。
羽生 そうです。場面、場面の形、形です。ただもちろんその中には駒得とかそういうこともあるので、形が悪くても駒得の方がいいという判断のケースとかも沢山入れていくのがいいのではないですかねえ。
―それはすなわち羽生さんの将棋の考え方に非常に近いのではないんですか。
羽生 そうです。つまり、自分が将棋の手を考える時にどういう判断をしているかということをインプットしていくわけです。