最高かつ最悪の従業員がいた。彼女の担当は、サイトの顧客に提供される割引コードを確認しデータ入力する仕事だ。

 その正確さは社内トップで、従業員の入力正確率は平均で80%なのに対し、常に100%に近い成績を誇っていた。だが、彼女はかなり完璧主義者のため、処理数は期待目標の約半分しかない。日付や記述は3回チェックし、割引提供店に確認の電話をした(もっと仕事の速い同僚たちは、電話などめったにしない)。

「当社の“カメ”は、怠け者なわけでも、期待目標を理解していないわけでもありませんでした」と、カターニアは言う。「チームで最も技量があったのは、間違いなく彼女でした。だからこそ、スピードアップしてもらうことが非常に重要だったのです」

契機が訪れたのは、同社が多くのデータ入力作業を自動的に検証できる社内システムに投資した時である。その従業員は、2、3ヵ月経つと、新たなシステムを十分に信頼するようになり、いままで絶対であった自分のルーティンは必要ないと納得するに至った。「いまだに、彼女はデータ入力が遅い1人です」と、カターニアは言う。「ですが、入力をサポートするこのシステムのおかげで、彼女の作業スピードは約30%向上しました。十分に許容可能な範囲です」

 肝心なのは、「ある従業員が最高の人材だとわかった時点で、ただちにその人をサポートするシステムをつくること」だと彼は言う。

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